鍋谷萌子
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「ギルトフリー(“guilt-free”、以下ではカタカナ表記に統一する)」という言葉をご存知でしょうか。これは、購入者が、物を罪悪感なく買えるあるいは消費できるという意味の言葉であり、現在さまざまな業界で使われています。
今回はこの「ギルトフリー」を取りあげて、その意味や人気の理由、ギルトフリーに相当する食べ物について紹介していきます。
ギルトフリーの意味とは?
ギルトフリーとは、「購入者が、何かしらの物・サービスを手に入れ、消費するときに感じる罪悪感を、最小限にする消費の方法」をいいます。
エコロジーと結び付けられるときには「環境負荷の少ないものを買う(使う)、地球に優しいものを買う(使う)」という意味で使われています。
ただ現在は、この「ギルトフリー」には食品・食事の分野で広く使われるようになりました。日本では一般的にはこちらの意味で使われることが多いと思われます。

たとえば、グルテンフリーのスイーツであったり、カロリーが低い食べ物であったり、砂糖不使用の食品であったり、脂質の低い料理であったり……といったものが、これの代表例としてよく挙げられます。また、「小麦粉も砂糖も入っていないスイーツ」のように、2つ以上の食材・成分・栄養素に制限をかけているものもあります。
これらは現在非常に注目を浴びていて、さまざまなところで販売されています。健康食品としてのかたちだけではなく、し好品としても出回っていて、実店舗はもちろん、インターネットでも気軽に買えるようになっています。また、なかにはギルトフリーのお菓子・料理を扱っている専門店や、夜中でも食べられるスイーツとしてギルトフリーのアイスなどを積極的に打ち出しているコンビニもあります。
今後はこのような展開は、ますます広がっていくものと思われます。
ギルトフリーの考え方は、2010年前半から始まりました。かなり新しい概念であり、登場してから20年も経っていません。しかし、オーストラリアで生まれたこの概念は、インターネット文化と相まって、瞬く間に世界で広がっていきました。
なお、このギルトフリーの元祖はオーストラリアでヨガをしていた人が生み出した「ブリスボール」だったといわれています。これはお菓子の一種なのですが、
・砂糖不使用
・グルテン不使用
・添加物不使用
の3要素を満たしていたとされています。ちなみに日本では、2016年にこのブリスボールの専門店がオープンしています。
ギルトフリーが人気の理由~罪悪感のない食事をする

ダイエット中や夜更かしの最中にお腹が減ったときに、ついうっかり高カロリー高脂質のものを食べてしまい、後悔した経験はだれにでもあるのではないでしょうか。「冷蔵庫にある食材で作れば、もっとローカロリーで低脂質のものを食べられると分かっていたが、作るのが面倒で、ついスナック菓子に手を伸ばしてしまった」などの経験です。
食事をしたときに得られる満足感や満腹感は決して否定されるべきものではありません。食事はストレスを解消してくれる手段のうちの一つであり、過度な節制は体に逆に悪影響を与えるからです。
しかし、罪悪感を覚える物を食べると、それが逆にストレスになってしまいかねません。また、そのような状況で食べられる食べ物も少しかわいそうに感じる人もいることでしょう。
そこで登場するのが、「ギルトフリーの食べ物」です。
ギルトフリーの食べ物はカロリーや脂質が低いものが多く、また健康的な食材で作られているものも非常に多いといえます。このため、「満腹感・満足感はあるのに、低カロリーで低脂質→これからも、ストレスなく食べられる→『食べてはいけない』ではないと思うと気が楽になる→ダイエットを無理なく続けられる」というプラスの循環が起きるのです。
また、日本は「食」において、世界で最も優れた国だといわれています。日本の生み出すギルトフリーの食べ物は、単純に「体に良い」「小麦粉など(の特定の成分)を含んでいない」というだけではなく、食味に優れるものが多いといえます。さらに外見も美しく、ギルトフリーではない食べ物とほぼ変わらない外見をしているものもあります。
これはまさに日本のお家芸とでもいえるもので、飽きることなく続けられる工夫もされています。なかには、「ギルトフリーということは意識していないが、あっさりしていて好みなので食べ続けている」という人もいるほどです。
もちろん、ギルトフリーの食事をしているだけで、ダイエットができる・健康になれるというわけではありません。しかしギルトフリーは、「食べてはいけない」というストレスから人を解き放ち、健康的においしく物を食べるという喜びを私たちに教えてくれる存在だといえます。
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